「カレー」という言葉を耳にして、思い浮かぶもの、連想するは何でしょうか?
専門店で食べた、「本場」とうたわれたインドカレー。
大きな鍋でたっぷりの量を作るからか、やたらとおいしく感じた学校給食での人気メニューのカレーライス。
近頃は季節の野菜などさまざまな具材を用いるけれど、やっぱり基本は肉・ジャガイモ・ニンジン・タマネギね、という家庭料理としてのカレーライス。
行きつけのカフェや喫茶店のランチタイムメニューのカレーライス。
昔なじみのおそば屋さんの、和風だしをきかせたカレーうどん。
食事づくりがちょっと面倒なとき、余りごはんと一緒に食べるレトルトのカレー。
小腹がすいたときなど、コンビニエンスストアで買う、カレー味の中華まんじゅう。
お気に入りのスナック菓子のシリーズのひとつ、カレー味。
朝食用の食パンといっしょに、パン屋で買うカレーパン。
こうして、ちょっと身近な「食」のシーンを見回して思い起こしてみると、そこには実に豊富でユニークな「カレー」があふれていることに気がつきます。カレーと言えば、一般的にはカレーライスのことを指す場合が多いでしょうが、現代においては「ごはんに添えるもの」から離れて、別の料理とのコラボレーションやスナック菓子などの味付け、はてはアイスクリームとまで結びついてしまうという広がりを見せている不思議な料理です。なぜ、これほどまでにいたるところに、姿形まで変化させて浸透しているのか。どうして日本人にカレーが受けるのか。ふと、そんな疑問が湧いてきます。
ちなみに、日本人がカレーを食する機会は非常に多いと言われています。カレールウを生産しているあるメーカーが農水省や缶詰協会の統計から計算したところ、1人あたり1年に約84回カレーを食べているという結果が得られたとのこと。
つまり、週1回はカレーを食べているという計算です。家庭での食事、外食、レトルト食品も全て合わせた数字ですが、乳幼児も含めた総人口から割り出しているので(カレーが嫌いで、1年のうちでほとんど口にしない人も含まれているでしょうが)、実際にはもっと高い頻度で食べられていると考えられるのです。
和食、イタリア料理、フランス料理、中華料理、エスニック料理など、日本には実に数多くの食文化、料理が受け入れられ食べられているというのに、週1回以上、1食のメニューにカレーを選んでいる。このことからも、「日本人はカレーが好き」というイメージが思い浮かぶでしょう。
また、近頃ではさまざまな外国の料理店が巷にあふれ、そこで、それまでに食べる機会の少なかった新しい「カレー」との出会いもあります。
「料理」と記しましたが、ではカレーの定義とは何でしょう。
一般的に、複数のスパイスを使って、肉や魚、野菜などさまざまな食材に味付けをした料理と言われています。元々の発祥はやはりインドで、そこからスパイスが世界各国へ運ばれ、広まりました。ではどんな地域で食べられているのか。まずカレーの故郷であるインド、インド周辺国、アジア、東南アジア、イギリス、アメリカ、一部アフリカや西インド諸島などでも根付いているところがあります。
ただしここで気をつけたいのは、ここで言う「カレー」とは、あくまでインドのカレーそのものが各国に根付いたのではなく、インドからもたらされたスパイスがそれぞれの国の料理と結びついて根付いたという点です。
ご存知の方も多いかと思いますが、そもそも、インドには日本でいうところのカレー粉というものは存在しません。食材に合わせて、その都度スパイスを混ぜ合わせて作る料理のことを、外国人である私たちが「カレー」と呼んでいるのに過ぎないのです。
こうしたスパイスを多用したインドの料理やスパイスそのものが世界各国に広まったのは、イギリスによるインド統治が要因となっています。