インドカレーは前述のように、食材や体調、各家庭の好みによって各種のスパイスを混ぜ合わせて作ります。どんな料理にでも20〜30種類ものスパイスを使うというわけではなく、今や日本でも簡単に手に入るスパイスなども使われています。石臼や鉢を使ってスパイスをすりつぶしてカレーペーストを作ります。都市部で暮らす人々の中には、すりつぶす作業にミキサーを用いたり、ガラム・マサラを作りおきしておいたり、市販の粉末パウダーを購入しているようです。インドでは「カレー」という言葉はのちに外国から入ってきたものですが、彼らの認識では、カレーとはスパイスを使って味付けをしたものの中でも汁気のあるものを指しています。カレーとともに食するのは、デリーなどの北部ではナン、チャパティといった小麦粉から作ったパン、南部では米が用いられています。
[代表的なスパイス]
カルダモン…「香りの王様」とも呼ばれ、原産地インドで紀元前千年以上前から生薬やスパイスとして使われている。
クミン…特有の強い香りを持つ。チャツネの原料としても使われている。
クローブ…丁字。強く甘い芳香と舌にしびれるような刺激味が特徴。
コリアンダー…レモンとセージを合わせたような香りを持つ。肉類、卵、豆類の料理によく合う。
ターメリック…うこん。カレーの鮮やかな黄色はターメリックによるもの。苦く、渋みがある。
フェンネル…ヨーロッパでも浸透し親しまれている。強い甘みのある芳香が特徴。
シナモン…甘味のある香り、刺激味はほとんどない。お菓子の材料としても用いられる。
ポピーシード…けしの実。くるみの実に似た芳ばしい香りを持つ。
チリペッパー…チリパウダーは、チリペッパーを中心にクミン、ガーリック、オレガノなど数種を配合した混合スパイスのこと。
日本でもおなじみのキーマカレーの「キーマ」とはひき肉のことです。インドではヒンドゥー教、イスラム教徒が多いため、その禁忌である牛肉や豚肉を使ったキーマカレーはほとんどなく、羊肉を使ったものが普通です。日本では本格的な羊のひき肉ではなく、手に入りやすい豚肉や牛肉、鶏肉のひき肉を使用していることが多いようです。
具材を炒める油は、日本では4人分くらいなら大さじ4くらいでしょうが、インドではもっとたっぷりと油を使います。これは、油で熱することにより、不浄なものを浄化するという意味があるのです。
スパイスについては、日本では上に挙げたものが主なものですが、好みでシナモン、カルダモン、クローブなども入れます。また、複合スパイスのガラム・マサラは、具材を炒める時ではなく、香り付けや調整の目的で最後に入れるものです。
最初にタマネギをキツネ色になるまで炒め、そのあと具材、水またはスープを入れて煮込むという流れは日本のカレーとほぼ同じですが、小麦粉を炒めたいわゆるルウはもちろん入っていません。